このトリケラトプスのいとこは、多くの人間と同じように骨肉腫を患っていた。

このトリケラトプスのいとこは、多くの人間と同じように骨肉腫を患っていた。

がんは、かなり標準的な手順をたどる。細胞が制御不能に増殖し、生存に必要な主要臓器を乗っ取るまで増殖する。人間から鳥、爬虫類まで、動物界のあらゆる生物ががんになる可能性があり、研究者が今週報告したように、数百万年前に地球を歩き回っていた恐竜もがんになる可能性がある。これらの古代生物の謎の形態がどのように、なぜ発生するのかをより深く知ることは、医師がより多くの動物が同じ運命をたどるのを防ぐのに役立つ可能性がある。

ロイヤル・オンタリオ博物館とマクマスター大学の科学者らは、7500万年以上前に生息していた古代のトリケラトプスのような獣が脚の骨に骨肉腫の腫瘍を発症したことを発見した。彼らは先週、この新たな発見をランセット誌に発表した。

健康の専門家や古生物学者を含む科学者チームは、カナダのロイヤル・ティレル博物館で古い化石を発掘して古代の恐竜に人間のような病気がなかったか調査していたところ、30年前に科学者がアルバータ州で発見したセントロサウルス・アペルトゥスの腓骨を偶然発見した。

当時の古生物学者は、この奇形の化石を、奇妙な治癒過程をたどった骨折と診断していた。しかし、新たな研究チームはさらに詳しく調べ、骨が人間の患者のものであるかのように検査と検査を行った。つまり、考えられる診断のリストを作成し、最終的には顕微鏡で骨の切片を生検してさらに詳しく調べることになった。

「破壊分析と呼ばれる、まさにその名の通りの分析を行う必要がありました」と、この研究論文の著者でマクマスター大学の整形外科研修医であるセペル・エクタリ氏は言う。

より詳しい検査により、エクタリ氏と研究チームは、骨の破壊は骨肉腫によって引き起こされたと突き止めた。この病気は今でも米国で毎年800~900人の新たな患者を襲っている。エクタリ氏は、この病気にかかるのは人間だけではなく、ニワトリやオウムなど恐竜に近い他の哺乳類や生き物もかかると付け加えた。

インディアナ子供博物館の古生物学者で、この研究には関わっていないジェニファー・アン氏は、恐竜のがんが発見されたのは今回が初めてではないと指摘する。これまでにも数例のがんが知られている(アヒルの嘴を持つ恐竜にも骨がんの兆候があった)。しかし、この発見は、これまで見逃していたかもしれないがんに関する新たな発見につながる、まったく新しい恐竜のグループへの扉を開くものである。

「人間以外の動物の癌についても、多くの知識が得られつつあります」とアンは言う。「その情報と、高密度の化石をスキャンできるCTスキャナーなどの新技術へのアクセス向上により、古生物学者は古病理の特定と、能力を最大限に発揮して診断する能力が向上するでしょう。」

かつて現代の私たちの裏庭を闊歩していた巨大な恐竜の生活に対する好奇心を満たすだけでなく、古代の形態の癌についてさらに詳しく知ることは、私たち人間を含む現代の生物の癌を診断し、闘うのに役立つ可能性がある。人間の骨肉腫は、通常、人が超高速で成長しているとき、通常は10歳から20歳頃に発症するとエクタリ氏は言う。

恐竜も小さな赤ちゃんから巨大な獣へと急速に成長したのを見ると、急速な成長は細胞の急速な再生と関係があるかもしれないという理論をさらに裏付けるものだとエクタリ氏は言う。結局のところ、成長し再生する細胞が増えれば増えるほど、そのうちの一握りの細胞が「暴走」する可能性が高くなると彼は付け加える。

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